体の知性を取り戻す
2015.01.27 Tuesday
今年に入って初めて読んだ本は、尹雄大さんの「体の知性を取り戻す」という本でした。
自分の中で、このタイミングで出会えてよかったなという本でした。
最初の「はじめに」のところで、山陰の山深い里に知人を訪れ、その時に感じた漆黒の闇、その時に普段の暮らしでは感じることのない体の感覚の変化を丁寧に描かれているところから、思わず、ぐいっとひきこまれていきました。
私自身も火の物語の撮影に行った時などに、突然に真っ暗な漆黒の闇の中に一人で放り出されてしまうことがあります。
あの時に感じる怖さ、そして急に体が何かを感じようとして、切り替わってしまう感覚。
この感覚は前にカラーの暗室をしていた時にも感じることのあった感覚でした。
よく暗室といえば、オレンジのランプがついている部屋をイメージするかもしれませんが、それはモノクロ暗室のセーフライトと呼ばれる、印画紙に感光しないライトで、カラーの暗室をする時は基本的には全暗で真っ暗な中で作業をします。
真っ暗な中で、どうやって箱から印画紙を出して紙をセットしたり、プリントの現像機の中に入れたりできるかというと、小さな部屋の中で自分の歩く足音から跳ね返ってくる小さな音に耳を澄まし、体で距離をはかるのです。
この本の最初のところに書かれている
「目はあてにならないと観念したとき、体は手探りに適した状態に自然と変化した」という言葉を読んで、まさに、こういう体の動きなのかもしれないと思いました。
そして、暗室の中で起きる体の感じ方の変化は自分にとってとても楽しいと感じるものでした。
なぜそう感じるのか知りたいという思いもずっと持ち続けていました。
この本の中では、「小さく前へならえ」と「よく考えてからものを言いなさい」その言葉への疑問を体を通して具体的に考えていくのですが、「小さく前ならへ」も「よく考えてからものを言いなさい」も、そのかけ声をかけられた時に、きゅっと体が縮こまってしまう。
私自身、「よく考えてからものを言いなさい」という言葉は小さいころからも大人になってからも、たくさん言われ続けた。
もちろん、本の中でもよく考えることが悪いなどと言っているのではなくて、その言葉を言われた時に体が萎縮して緊張し、その時に奪われてしまう、体や思考や言葉、そこに大切なことがたくさんあるのではないかと気づかされるような言葉が並びます。
書いている人自身の経験から深く考えられた言葉で、でもすごく特殊なことが書かれているわけではなくて、多くの人が経験した中で一度は感じたことのあるかもしれないことでイメージしやすい部分もあるかなと思いました。
途中からは武術の話になり、少し抽象的な感じで自分にはまだ理解できていない世界の話もあったけれど。
体ということで介助のことなども思い出したりした。相手の体ばかりを意識していたけれど、自分にだって体はある。
何度か読み直してみようと思う、面白い本に出会えた。
自分の中で、このタイミングで出会えてよかったなという本でした。
最初の「はじめに」のところで、山陰の山深い里に知人を訪れ、その時に感じた漆黒の闇、その時に普段の暮らしでは感じることのない体の感覚の変化を丁寧に描かれているところから、思わず、ぐいっとひきこまれていきました。
私自身も火の物語の撮影に行った時などに、突然に真っ暗な漆黒の闇の中に一人で放り出されてしまうことがあります。
あの時に感じる怖さ、そして急に体が何かを感じようとして、切り替わってしまう感覚。
この感覚は前にカラーの暗室をしていた時にも感じることのあった感覚でした。
よく暗室といえば、オレンジのランプがついている部屋をイメージするかもしれませんが、それはモノクロ暗室のセーフライトと呼ばれる、印画紙に感光しないライトで、カラーの暗室をする時は基本的には全暗で真っ暗な中で作業をします。
真っ暗な中で、どうやって箱から印画紙を出して紙をセットしたり、プリントの現像機の中に入れたりできるかというと、小さな部屋の中で自分の歩く足音から跳ね返ってくる小さな音に耳を澄まし、体で距離をはかるのです。
この本の最初のところに書かれている
「目はあてにならないと観念したとき、体は手探りに適した状態に自然と変化した」という言葉を読んで、まさに、こういう体の動きなのかもしれないと思いました。
そして、暗室の中で起きる体の感じ方の変化は自分にとってとても楽しいと感じるものでした。
なぜそう感じるのか知りたいという思いもずっと持ち続けていました。
この本の中では、「小さく前へならえ」と「よく考えてからものを言いなさい」その言葉への疑問を体を通して具体的に考えていくのですが、「小さく前ならへ」も「よく考えてからものを言いなさい」も、そのかけ声をかけられた時に、きゅっと体が縮こまってしまう。
私自身、「よく考えてからものを言いなさい」という言葉は小さいころからも大人になってからも、たくさん言われ続けた。
もちろん、本の中でもよく考えることが悪いなどと言っているのではなくて、その言葉を言われた時に体が萎縮して緊張し、その時に奪われてしまう、体や思考や言葉、そこに大切なことがたくさんあるのではないかと気づかされるような言葉が並びます。
書いている人自身の経験から深く考えられた言葉で、でもすごく特殊なことが書かれているわけではなくて、多くの人が経験した中で一度は感じたことのあるかもしれないことでイメージしやすい部分もあるかなと思いました。
途中からは武術の話になり、少し抽象的な感じで自分にはまだ理解できていない世界の話もあったけれど。
体ということで介助のことなども思い出したりした。相手の体ばかりを意識していたけれど、自分にだって体はある。
何度か読み直してみようと思う、面白い本に出会えた。