ミックスモダン

2019.12.25 Wednesday

 

 

 

舞台、「ミックスモダン」最終日に見てきました。自分も少しだけ声で出演させて頂いたので、のんきに感想を書くのも、、とも思いますが、あまりに素晴らしかったので!

 

冒頭の若い女性がミシンを踏むシーン。藤原さんの舞台は舞台上に大道具も小道具もなく、椅子一つ。

役者の方々は、目線や体の細やかな動きで何をしているかを表現します。

見ている私たちは、何もない空間の中で、彼女が刑務所の中でミシンを踏んでいるのを想像します。想像というよりも、そのシーンが見えるのです。

私たちの体は日々、いろいろな動きをしている。

例えば、朝起きて布団をめくる、スリッパをはいて歩く、トイレのドアを開ける。半分無意識のうちに、そこにあるものに対して体が動いているけれど、布団やスリッパやドアがなければ、、。その動きをどれだけ体は記憶しているのかな。

そんなことを考えると、役者さんたちは普段どんだけ体に強烈に意識を向けたり訓練しているのだろうと思うのです。

 

舞台になった千日前のお好み焼きや「木垂る」で、登場人物たちが働いているシーンがとっても好きでした。お店の賑わいやお好み焼きのソースの匂いまでがこちらに伝わってくるようでした。

お好み焼きやの社長を演じたのは重松愛子さん。私は今回の舞台を見て、最初ちょっと驚いたのです。彼女が感情を露わにして大声を出すシーンで。

舞台で見る愛子さんは、物静かな普段の愛子さんとは全く別人なのですが、今回は今まで見たことのない愛子さんで。普段感情を表すのがあまり得意ではないと言っていた愛子さんがこんなにも激しく感情を露わに。

でも、ただエキセントリックな人というのではなく、一人の女性としての苦悩やそれでも店を守りたいという気持ち、自分への自信のなさからの不安、そういうものもちゃんと伝わってきて。

社長と店長がぶつかりあうシーンで、気がついたら泣いていました。

お好み焼きやの店長を演じた、與儀慎太郎さんもめちゃくちゃ勢いのある役者さんですごくよかったです。

 

そして、刑務所から出てきた若い女性、真澄を演じた久保山智夏さん。素晴らしかったです!なんかふわふわしていて、男性へのガードがすごくゆるく見える、こういう女の子いるいる!と思わせる、妙なリアリティーが。でも身近な男性を取り込もうとするのは、自分を守る最大の防御にも見えて。恋人役を演じた與儀さんとぶつかりあうシーンも迫力があって、感情の幅の演技に圧倒され、ここでも気が付いたら泣いていました。

私が声の出演をさせてもらったのは、この真澄ちゃんの母役なのです。(電話のシーンです)娘を金づるにしか思っていなくて、金の無心のために給料日だけ心配する母親、これが私の役でした。

録音の時に、最後に「お母ちゃんありがとう」(セリフ)とキラキラしたまっすぐな目で言われると、なんだかとても心苦しくなりました。

登場人物全員がみな主人公で、すべての人のことを書きたいのですが、長くなってしまうので、、。

 

人は愛されたいとか、なかなか叶わぬ夢をみたり、みんなそれぞれの欲望を心の中にたぎらせて。

ええ歳して、何を夢みたいなことをと言われても、たとえまわりからは滑稽に見えても、もがきながらも生きてゆくことは時に優しく。

そんなことを思わせてくれるお芝居でした。